2000年3月19日 日曜日

ジェイムソン教授シリーズ
こんにちは、悪丸君です。前回のスペースオペラはいかがでしたか。
おもしろかったでし ょう(強制はいけませんね)
今回はジェイムソン教授シリーズを楽しんでください。−−
2.面白い(個人的に)スペースオペラの紹介−−−−−−−−−

Bジェイムスン教授21MM329シリーズ−
SF中最大のシリーズものといえば、当然E・E・スミスのレンズマンかR・バロウズの火星シリーズかと思っていたらこれが大間違い。
ニール・R・ジョーンズの〈ジェイムスン教授シリーズ〉なのである。
全編、21編。1931年に第一作が発表されて以来、1951年まで実に丸0年にもわたって書き続かれた勘定になる。
この主人公のジェイムスン教授、もちろん以前はれっきとした人間なのだが、いまや生まれもつかぬまるで龕灯のお化けのようなていたらく。これこそ、最後の地球人、四千万年後のアデ姿なのである。
ハヤカワJA119 SF英雄群像 野田昌弘 著 より 
宇宙のまっただ中、地球から三万マイルほどの離れたあたりにジェイムスン教授の遺骸をおさめたロケットが円軌道を描いて地球の周りを巡っていた。
ロケットはもはや完全に死に絶えた地球の衛星となっていたのである。
遠く、ファラオの時代から人類は死者を永遠に保存する方法を求め続けてきたが、ジェイムスン教授もまた、自分の遺骸を何とか永久に保存する方法はないかと考え続けてきたのである。
そしてある日、彼はその解答を見つけだした。ロケットの中に遺骸をおさめ厳重に封印した上で宇宙に向けて打ち出してしまうのである。この方法なら、絶対真空と絶対零度のまっただ中で遺体は永遠に保存され、地上のように墓泥棒、戦乱、土木工事などがその眠りを妨げることなく、太陽が冷え果て人類が滅び果てた後も永久にその姿をとどめるに違いない。
隕石との衝突は彼の発明したラジウム利用の防御ビームによって解決する。そして太陽や地球や他の惑星の引力に引き込まれることのないよう、その周回速度を綿密に計算しておくのだ。彼は余生をその計画のすべてにつぎ込み、そして1958年、彼の死と同時にその遺言は実行され、甥の手によって極秘裏に彼の遺体をおさめたロケットは打ち上げられた。
幾世代も、それからまた幾世代も過ぎ去った。人類は発展を遂げ、そして衰退し、つぎつぎと取って代わる生物があらわれ、進化してはすぐに他の生物に取って代わられた。
そして四千万年後、――いまやわずかな赤みしか帯びていないその太陽の回りを依然として地球は周回し続けていたがもはやその表面に生あるものの気配は全く感じられなかった。  
教授の死後四千万年あまり。死の静寂に包まれたこの太陽系に一隻の宇宙船が近づいてきた。
巨大な流星のように船体を輝かせながら近づいてきたその宇宙船の内部には奇怪な形の金属製の体の生物が操縦席についていたが、瞬く間に星系の中心部に近づいてきた。そして内側から三つ目の惑星の軌道上で彼らはジェイムスン教授の棺桶を発見する。
彼らは四角の胴に四本の足と六本の触手、胴の上部の円錐はもちろん頭だが回りを取り囲んでいる一見リベットのようなものは目玉、そして頂上にももう一つの目玉がついていて人目で四方八方から上まで見渡せるようになっている。この連中は、我々の太陽系から数百万光年も離れたある星系の一惑星、ゾルの生物たちであった。すでに百万年も前から彼らの科学は肉体の死を克服し、金属製の体を完成し、脳を移植していたのである。テレパシーによって会話をするこのゾル人達の唯一の趣味は宇宙の探検であった。
あちこちの星系で新しい種族と接するために、彼らは入れ替わり立ち替わり往復数百年という長い旅路につくのであった。.......................
完全に死に絶えた太陽系だとばかり思っていた彼らは厚い氷に包まれた第三惑星の回りを無心に回り続けるロケット型の衛星を発見して俄然色めき立ち、衛星を自分たちの宇宙船内に収容する。..........
ジェイムスン教授は奇妙な感覚に呼び覚まされた。確か自分は病気だったはずだ。そう、医者にはもういくらも持たないとはっきり宣告されていた。
だが、こうしているところを見るとまだ死んではいないようだ。それにしてもどのくらい眠ったのだろう。おかしい。なんかまるで体がなくなったみたいだ。医者や看護婦はどこへ行ったんだ? 教授は人を呼ぼうとした。だが、声が出ない。いや、口は?口はどこにあるんだ?まるで口がないみたい。そんな馬鹿な。誰かが呼びかけてくるような気がした。
必死に答えようとするが声が出ない。そのとき、はっと気がついた。室内が、室内のすべてが首をまわさずによく見える。いったいここはどこだ。私の周りを取り巻いているこの化け物のような機械は?そのとき、一番近くにいるやつの、妙な触手が伸びてきて教授の額にふれた。奇妙な感覚だ。教授は振り払おうとした。
だが、振り払ったのはなんと教授の手ではなかった。彼らそっくりの四本の触手ではないか。...
いうまでもなく、このゾル人達が自分たちの技術を応用してジェイムスン教授の脳を取り出し、再生移植したのである。かくて、死後四千万年後に生き返り、しかも不老不死を取得したジェイムスン教授は21MM392という呼び名をつけられて、このゾル人達とともに大活躍をするというのだ。
この龕灯のお化けとしか言いようのないのが、なかなか愉快な連中で、宇宙探検が趣味というのもうれしいが、必要とあらば戦争を仕掛ける。
略奪はやる。けちなモラルなんぞこれっぽちもない稚気満々、やりたい放題のことをやらかしてはこっぴどい目に遭うのだが、喉元すぎれば何とやらまた、性懲りもなくあちこちへ出かけてゆく。侵略したある惑星の科学者のところへ押し掛け、開発中のタイムマシンに乗せろと駄々をこね、タイムトラベルに出かけたはいいが、元の時点に戻れなくなって大騒ぎしたり、パラレルスペースから来た怪鳥の催眠術に引っかかって危うく全滅しかけたり、太陽が二つある惑星系で片一方の太陽が沈んだ状況でもう一方が食を起こすと、そのとたんにゾル人達の脳が異常を起こし、全員で自爆を試みたり.......
だが、どんな目にあってもへこたれない。脳がのこっている限りは交換部品を母星から取り寄せ、修理完了、また、宇宙旅行へ出発というわけである。
ゾル人は全員が龕灯というわけではない。並のやつもいくらかはいる。ゾルの隣の惑星系ミュムに捕まった並のゾル人の一人が首をちょんぎられてしまった。彼にはかわいい恋人がいる。そこで仲間が命がけで首を取り返し、みんごと生き返らせるのだが、恋人は喜ぶどころか、変わり果てたその姿に泣き崩れ、絶望の果てに自分も龕灯になった....などという悲話もある。
する事なす事、何となくほほえましいこの連中の暮らすうちにいつの間にかリーダー株に収まったジェイムスン教授は、連中と一緒に騒ぎに巻き込まれてけがをしたりしながらうまくやってゆく。
このシリーズは一話完結で、次回へのお楽しみを残しながら進んでゆく。−
−−第八話『弔い合戦―――惑星ミュムへ出撃!の巻』を紹介しよう。
龕灯すなわちゾル人達は、自分たちが開発したこの龕灯型肉体の秘密を自らの種族のみで独占するようなけちな了見の持ち主ではなく、他の惑星系にまでのこのこ出かけてその技術を伝授してやったのである。
ゾル人達の星系の隣にある星系ミュム。
ここの住民で新たに龕灯型肉体を得た男に6D−4という暴君がいた。こいつがフランケンシュタインと化してミュムの全惑星を占領してその暴君に収まったのだが、それでは飽きたらず、隣の大恩ある惑星系ゾルにまで魔手をのばしてきたのである。
なにしろ、戦争は大好きというゾル人達、さっそく準備に取りかかる。戦力、火力ともゾル人の方が優位とはいうものの、そこはなにし追う6D−4,防御放射線バリヤーなる雲隠れんの術を開発し、ミュムの惑星上には地中要塞を着々と建設中らしい。
とにかく早いとこ叩いた方がいいというわけでジェイムスン教授(21MM392)は第一次攻撃隊の宇宙船百隻を率いて勇躍ゾルを出発。教授の宇宙船には6W−438など龕灯二人と並のゾル人四人が乗り組む。探知機は執拗にミュムの戦隊を求め続けるがいっこうにあらわれる気配もない。
やがてミュム星系の惑星タニドが見えてくる。
タニドへ接近していくそのとたん、出し抜けに攻撃隊の真正面にまばゆい閃光が。
「ずいぶん遠くから撃ってきたもんだ。五十万マイル以内にはなにもないぞ」と6W−438。
「とんでもない。そんな遠くからこんな正確な射撃ができるもんか」と教授。続いてまた、一発。ついに攻撃隊の一隻が被弾。敵の命中精度はどんどん上がってくる。
そのとき、はっと気がついた。これこそ、バリヤーだ。敵はバリヤーの影に隠れて撃ちまくっている。
「弾道を捕捉して、逆にぶち込んで見ろ!」6D−438が探知機で弾道をとらえたとたんに、船が大きくよろめいた。敵のバリヤーに突っ込んでしまったのだ。そのとき襲うすさまじい振動。
「どうした!主砲の暴発か!」
「ミュムの宇宙船と衝突しました!船腹に大穴があきました!」
「右舷に敵宇宙船接近!」
「隠れろ!思考波を出すな!」やつらは宇宙船が欲しいはずだ。
案の定、敵は宇宙船を横付けにして乗り込んできた。そこで隙を狙ってレイ・ガンでホールドアップ。あっさりと敵の宇宙船を乗っ取ってしまう。乗っ取ったミュムの宇宙船で本体に合流しようとした教授達はたちまち味方の猛攻撃を受ける。何とか知らせたいと思ってもテレパシーには遠すぎるし、無線は波長が違う。やられてしまっては元も子もない。
バリヤー内に逃げ込めば宇宙船をとられたと気づいたミュムの艦隊と鉢合わせ。ついに惑星タニドに墜落する。メチャメチャになった宇宙船の中で並のゾル人ホゾは奇跡的に意識を回復する。
あたりを見渡すと龕灯は敵も味方も木っ端微塵になりそのほとんどは脳をやられて完全に死んでいる。
だが、かすかに21MM392の思考波が。そこでホゾは考えた。ここは敵のど真ん中。いずれ救助がやってくるに違いない。
そのとき龕灯を全員やっつけておけば隊長をミュム人と間違えて助けてくれるかもしれない。彼はレイ・ガンを取りあげるとまだ意識のある龕灯全員にとどめをさした。
教授が意識を回復したのはミュムの修理工場。「どうだ具合は?」とミュム人の思考波。
「具合はいい。生き残ったのは私一人か?」
「いや、三人だ。4N−7と2H−Bだ。4N−7は地下要塞だ。おまえも行け」というわけで教授はちかようさいでミュム側の戦闘要員に。何とか連絡を取りたいがその機会がない。
そんなある日、突如警報が。全員戦闘配置に。彼は配置されたのは皮肉にも開発されたばかりの超強力ビーム砲。進入してくるゾル宇宙船隊をすっぽりビームで取り囲んでそっくりそのまま討ち取ってしまう仕掛けである。暴君6D−4は触手を振り立て彼らを激励する。
わざと退却したミュムの宇宙船を追ってゾルの宇宙船隊が突っ込んでくる。
やがて戦端は開かれる。
「発射!」ついに6D−4は教授に発射命令を。
船隊はビームにすっぽり包まれる。後は砲撃開始のみ。そこへ相手に投降を勧告しろと言う6D−4の指令。宇宙船が欲しいのだ。
チャンス到来!教授は送信機に向かって
「こちらは21MM392だ。早く脱出せよ。ビームの周辺ならまだ脱出できる。急げ!」呆気にとられたのはミュム人。これぞ、千載一遇のチャンス。
隠し持ったる鉄棒であたりの機器をぶっこわす。反撃するミュム人の背後から声が。
「隊長、6W−438だ」4N−7は6W−438の仮の姿だったのだ。
二人はさんざん暴れ回り、地上に出る。ビーム砲から解放されたゾル宇宙船は大空襲を開始する。
どさくさに宇宙船を盗んだ二人はミュムからの脱出に成功する。ところがその先を先行する宇宙船一隻。勝ち味なしと見て逃走を図る暴君6D−4。
「逃がすな!捕まえろ!」と追いすがり、とある惑星に着陸してさらにやり合ううちに6D−4は突如起こった山崩れに生き埋めとなってあえない最期を遂げる。
凱歌を上げた二人だが、さあ、さっき着陸した場所がわからない。.....
そこにあらわれたのがミュムでもゾルでもとにかく龕灯は大嫌いという怪物!というわけで次回をお楽しみと言うことになる。
サイボーグもの、あるいは人体改造ものといえば遠くフランケンシュタインの時代からあるがこれほど奇想天外なサイボーグものはちょっとお目にかかれない。−−−−−−−−
スペースオペラに戻る
inserted by FC2 system